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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2018.03.12

「悠久の国インドへの挑戦」56 インド基礎知識そのXIII:私の出会ったインドの人達(5)

藤崎 照夫

インドの茶畑

<合弁会社のパートナー>

3)四輪会社のパートナー:Mr.Shidarth Shriram

 今月はパートナーシリーズの最後として私がインドでの2度目の駐在をした四輪合弁会社のパートナーについてご紹介したいと思います。このShriramさんはホンダが前にご紹介した二つの二輪合弁会社をスタートさせた同時期に小型発電機、Water Pumpなどの汎用機と呼ばれる製品の合弁会社のパートナーでもありホンダとは既に10年以上のお付き合いのある方でした。

 この汎用機の合弁会社はShriram Hondaという会社でしたが、設立の際にその当時の工業大臣が自分の選挙区であるインド北部の辺鄙な場所に「土地の値段がすごく安い」「法人税を10年間免除する」などの条件を提示して半ば強引に工場誘致を決めた会社でした。然しながら首都のデリーから車で7~8時間もかかり人材も集まらない状況でその地域に住む外国人はホンダの駐在員2名だけという、数あるホンダの海外事業所の中でも最悪の駐在条件の会社で黒字化に随分時間のかかった会社でした。

 この合弁会社のパートナーであったShriramさんがホンダが四輪でのインド進出を決めた時にパートナーとして手を挙げてきましたがホンダも慎重に検討の結果この方をパートナーとして決定しました。Shriramさんのファミリーは100年以上の歴史を持ち学校を設立するなどした老舗の財閥でしたが、ご本人はグループの仕事を父君から引き継ぐ前は海外でジャーナリストの仕事をしていたそうでオープンで非常に率直に自分の意見を述べる方でした。
 
 ホンダとShriram グループは60:40の比率で合弁会社を設立しShriramさんには非常勤会長として経営全般のアドバイスをして頂き日常のオペレーションは私やその他の役員が責任を持つという体制でビジネスをスタートしました。毎月1回の定期役員会では我々が気が付かないことなど適切なアドバイスを度々もらいましたが、それだけでなくこのコラムでも以前書きましたが工場用地の取得の件や国税局の査察問題など重要問題では非常に大きなバックアップをしてもらいました。

 彼とはビジネス上のパートナーというだけでなく彼の一番の趣味であるゴルフをしたり時々会食をしたりして私より1歳年上の彼とはお互いの信頼関係を深めていきましたがある日彼から「重要な話があるから会いたい」と電話があり早速彼の事務所を訪問したところ「彼が父君から引き継いだ化学工場や製糖事業などが赤字で資金繰りが回らなくなったので四輪合弁会社の自分の持ち株をホンダに買い取って欲しい」ということでした。当時銀行からの借入金利は15~16%と非常に高く苦渋の決断であったと思いました。

 それで日本の本社と連絡を取り彼と私と彼の最も信頼する合弁会社の副社長の3名でホンダのトップに説明に出かけました。彼からの説明を聞いた後のホンダのトップの回答は我々の想像とは全く異なるものでした。その内容は;

  お話は分かりました。ホンダが株を買い取りますが1%か2%でもいいから株を
  持ってパトナーとして残って下さい。そして将来資金的な余裕が出来たら15%
  まで買い戻して下さってもOKです。
  
というものでした。読者の方々もお分かりだと思いますが合弁会社で1%や2%の株を持つことの法的な意味は全くないと言えるということです。

 然しながらホンダはインドでのビジネス展開では色々な難な問題が起きるし彼の人柄、経験、人脈などは新会社にとってなくてはならないと判断したようです。そして従前と同様に彼に会長として勤めてもらうことになった次第です。彼はホンダのこの対応に感激し私がインドを離れた後も新会社をフルサポートしてくれたそうです。現在も私がインドを訪問する毎に彼の自宅を訪問し20年以上に亘る旧交を温めています。
   
  
  

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE

早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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