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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2018.06.04

「悠久の国インドへの挑戦」59 インド基礎知識そのXVI:私の出会ったインドの人達(8)

藤崎 照夫

インドの香辛料

<四輪合弁会社の副社長>

 今日ご紹介する人物は私の2度目のインド駐在の四輪合弁会社の副社長としてゼロから新会社の立ち上げに携わり爾来6年半私と一緒に仕事をしたMr.N.K.Goila(以下Goilaさんと略称)という人です。彼はこの人物シリーズで前々回ご紹介したMr.A.C.と同じく最高学府であるIITを卒業後インドでの老舗のShriram財閥グループでずっと勤務してきておりホンダとの汎用機の合弁会社でも社長を務めた経験を持つホンダをよく知る人でした。

 彼の大学での専攻はエンジニアリングでしたが新会社でのポジションは総務、人事、渉外担当の副社長として会社のNo.2として私と6年半苦楽を共にしました。彼は一般のインド人とは異なる幾つかの点がありました。その第一は時間管理です。かって日本海軍でも言われていた「5分前精神」をいつも守っていました。それを遵守するために彼の腕時計はいつも通常の時間より5分前に設定されていました私は社長として色んなアイディアが浮かぶと彼に「Goilaさんこういうアイディアがあるんだけどどう思いますか?」と投げかけると彼は熟考の上それをきちんとした形の具体化したルールや文章にまとめ上げてくれました。

 その報告はいつも彼が約束した日時前に仕上げられただけでなく内容はいつも私がイメージした以上のものでした。従って彼の仕事ぶりと能力がすぐ分かったので彼に何か依頼した後は一度も「あの資料はいつ出来ますか?」と聞いた事はありませんでした。6年半それを続けられたのは如何に彼の能力が優れていたかの証明だと思います。また一般的にインドの人は自分のことについて自慢したがる傾向の人が多いのですがGoilaさんは自分の学歴や能力について自慢話をしたことがありません。かっての質の高い日本人と同様に謙虚で控え目で本当に信頼出来る人物でした。

 前にも書きましたがインドでは学校を出た後仕事を何回も転職するのが一般的ですが、彼ほどの学歴、能力のある人物が一度も転職せずShriramグループで仕事をしたのは極めて稀であり彼のボスであるMr.Shriramと彼の相互信頼関係はすごく深かったのだろうと推察していました。彼は現在70歳を超えていますが今でもShriramグループの会社の非常勤役員として若い経営陣にアドバイスをしているそうです。

 上記のような内容から彼の仕事ぶりは十分ご理解頂けたかとは思いますが、いくつか実際に彼のやった実績をご紹介したいと思います。やはり特筆すべきことは以前このコラムでもかなり詳しくご紹介した国税局による我々の会社に対する脱税容疑問題です。この問題の発生後パートナーから紹介を受けた著名な弁護士事務所を私とGoilaさんは度々訪問し弁護士との協議を重ねました。主任弁護士は巻き舌で早口で私は正直なところ彼の話“の5~60%くらいしか理解出来ませんでしたがGoilaさんは彼の求めるところを十分に理解した上で裁判に必要な膨大な書類作成を陣頭指揮でやってくれました。

 残念ながら私のインド駐在中には裁判は結審しませんでしたが次の任地の台湾で我々サイドが勝訴したとの連絡を受け取りました。もしこの裁判で敗訴していたらホンダブランドに大きく傷がつくだけでなく経営面でも大きなマイナスを背負うことになったのは間違いないと思います。勿論彼一人の仕事ではありませんでしたが彼の貢献は誰もが認めるところであります。

 また別件ではこれもこのコラムで以前書いたと記憶していますが会社が操業を開始して3年ぐらい経った時に私は「会社は創業以来赤字続きで従業員の皆さんには苦労を掛けているが授業員は会社の施策、将来などについてどう考えているだろうか」ということを知りたくなり“従業員満足度調査”をしてみたいとGoilaさんに投げかけました。彼は私の漠然としたアイディアをきちんと理解し調査票を作成し調査を実施することが出来その後の経営に役立たせることが出来ました。これも彼のお陰だと感謝しています。

 彼とは今でも親交が続きお互いにインドや日本で会い旧交を温めています。


 

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE

早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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