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COLUMN コラム

名画から選んだ美しい英語

2018.02.13

名画から選んだ美しい英語 (138)

原島 一男

“Mr.Weissman's an American. They do things differently there.”
「ワイズマン氏はアメリカ人です。アメリカでは習慣が違うのでしょう」
(ゴスフォード・パーク)

 映画の中で話されている、上品で丁寧なフレーズをそのまま紹介する連載。
 1932年秋、ロンドン郊外の“ゴスフォード・パーク”にイギリス貴族が集うキジ撃ちパーティ。
 招待客には従者が付き添うというこのパーティを舞台に、伝統、格式など過去の遺産に寄り掛かった貴族社会の人間模様の裏側にある矛盾や葛藤を描きます。
 イギリスの貴族たちのほかに、アメリカ人映画プロデューサーのモリス・ワイズマン(ボブ・バラバン)も招かれます。
 ワイズマンの従者デントン(ライアン・フィリップ)は、ほかのサーバントたちに、ワイズマンは菜食主義者だと話します。

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DENTON: A vegetarian. He doesn't eat        「菜食主義者は肉を食べません。
    meat. He eats fish, but not meat.    肉ではなく、魚を食べます」
MRS CROFT: He’s come here for a shooting 「狩猟パーティヘいらしたのに
        party and he doesn't eat meat?     肉は食べないのですね」
DENTON: Mr. Weissman doesn't intend to shoot. 「ワイズマン氏は撃つつもりはなく、
        I think he just wants to get a bit of air. ちょっと空気を吸いたいのです」
MRS CROFT: Get a bit of air?           「ちょっと空気を吸う?」
MRS WILSON: Mr. Weissman's an American.         「ワイズマン氏はアメリカ人です。
           They do things differently there. アメリカでは習慣が違うのでしょう」

-「ゴスフォード・パーク」(Gosford Park  2001年 監督: ロバート・アルトマン  脚本: ジュリアン・フェローズ 
原案:ロバート・アルトマン、ボブ・バラバン)
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 同じ英語を話しながらも、ロンドンとハリウッドは遠く離れていることをまざまざと感じさせる会話です。
 1930年代の始めですから、もっとものことです。個人の意識が自由に育っていたアメリカと伝統を重く見るイギリスの間の文化の違いも感じ取ることができます。
 サーバントたちの英語は、当然、イギリス風ですが、このデントンという男性はアメリカの映画プロデューサーのワイズマンの従者でありながら、イギリス風アクセントの英語を話しています。

・get a bit of air  = 少しばかりの空気を吸う
・“They do things differently there.” =「人びとは違うことをしている」 →(アメリカでは習慣が違う)

 当時のイギリス人にとって、 vegetarian(菜食主義者)という言葉には不思議な響きがあったのでしょう。
 デントンが「肉ではなく、魚を食べる」と説明すると、「狩猟パーティなのに肉は食べないのですね?」と聞き直しています。
 また、「ワイズマン氏はちょっと空気を吸いたい」という話にもっと驚くわけです。


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原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE

一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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