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COLUMN コラム

名作にみる美しい英語

2019.07.01

名作にみる美しい英語(155)

原島 一男

 “Here, you guys, let’s have a toast.” by Raymond Carver
「さあ、みんなで乾杯しょう」(レイモンド カーヴァー)

 小説や映画などの名作から選んだ美しい英語を紹介する連載。
 そのフレーズが生まれた時代や背景を色濃く伝え、使った人の気持ちを具体的に表します。
 それをじっくり観察することで、あなたの今の英語を鍛えあげましょう。言うまでもなく、一つのフレーズだけでは、その作品の全貌をつかむことはできません。
 しかし、それが、あなたを刺激することもあるかもしれません。

Mel opened the gin                                メルはジンの栓を開けてから、
and went around the table with the bottle.     そのボトルを持ってテーブルを回リます。
“Here, you guys,” he said.             「さあ、みんなで、
“Let’s have a toast. I want to propose a toast.   乾杯しょう。乾杯したい。  
A toast to love. To true love,“ Mel said.      愛のために乾杯。まことの愛のために」  
                                                                            とメル。
We touched glasses.                 みんなはグラスを合せました。
“To love.” we said.                 「愛のために」。と言いながら。

-What We Talk About When We Talk About Love by Raymond Carver 
「愛について語るときに我々の語ること」(レイモンド カーヴァー)

 レイモンド カーヴァー(1939-1988)の短編集から「愛について話すときに我々の話すこと」の一節。
50歳で急逝したカーヴァー。最愛の妻や子供たちとも別れホームレスになるなど辛酸な生涯を送ったといわれます。
ここでは、カーヴァー夫妻と友人のメル夫妻と4人でジンを飲みながら、彼らが信じる’愛の姿’を語る、
飲み物がなくなるまで語り続ける。そんな何とも不思議な展開がみられます。

  「乾杯!」 を丁寧にいうと、”Here’s to ~“ です。また、”Here's to” を省略して、
”To our friendship.“(二人の友情に)といったり、“Cheers.”といったりします。
 なお、イギリスでは、Cheers! は「さようなら/ありがとう/ごきげんよう」の意味でも使われ、
カジュアルでフレンドリーな響きを持っています。
そこで親しい友だち同士なら e-mail の最後のあいさつでも使えそうです。 

 ここで、「~に乾杯!」をまとめてみましょう。
 乾杯の目的を具体的に言います。
“Here’s to you.”       「あなたのために」
“Here's to your new home.” 「あなたの新居に乾杯」
“Here's to your health.”  「あなたの健康のために」

 また、Here's をつけないで、
“To our friendship.“   「二人の友情のために」
“To your future. “  「あなたの未来のために」

 ほかには、
“Cheers!”                         「乾杯!」
“Here's hoping for the best.”      「ベストの結果を生むために」
“Let’s drink to that.“             「それに乾杯しましょう」
“A toast to Hiromi chan.“       「ヒロミちゃんに乾杯」
“I’d like to propose a toast.”      「ここで乾杯をさせていただきます」

 映画「カサブランカ」は多くの名セリフを残しました。
最も知られているのが、「あなたの瞳に乾杯」 "Here's looking at you." です。
ハンフリー・ボガードがシャンペンのグラスを傾けながらイングリッド・バーグマンに囁くこのフレーズ。
その後に作られた映画の中でもたびたび使われているほどです。
 この look at you という表現は、話している相手に対する ’感嘆の叫び’ として「あなたって、すごい!」
/「きみはたいした人だ」と訳され、’あなたの瞳’とは直接関係はありません。
とはいえ、この意訳のほうが真にせまっているわけで、それはそれで名訳というべきでしょう。
  映画の中で実際に話された会話では、”Here's looking at you, kid.” と
kid(子供 ー childよりくだけた言い方)をつけて年下の者に対する親しみを表しています。

RICK: Who are you really?          「一体きみは誰なんだ?
      And what were you before?                前は何だったの?
     What did you do and what did          何をしていて、何を
      you think?  Huh?                             考えていたの? え?」
ILSA: We said "no questions."       「何も聞かないって言ったでしょ」
RICK: Here's looking at you, kid.     「きみの瞳に乾杯、ね」
-「カサブランカ」(Casablanca 1942 監督: マイケル・カーティス 
  脚本:ジュリアス・J・エプスタイン、フィリップ・G・エプスタイン、ハワード・コッチ)

 ほかの映画では、
JUDY:  To your summer in Barcelona.    「あなたのバルセロナの夏のために。
           Welcome.                                         ようこそ」
MARK:  Salud.                             「サルード」
-「それでも恋するバルセロナ」(Vicky Cristina Barcelona 2008 脚本・監督:ウディ・アレン)

FIORINI: Do you know Cinzano?      「チンザノをご存知ですか?」
JANE: Do you know Bourbon?        「バーボンをご存知?」
FIORINI: Oh, yes. Do you want some ice? 「ええ、もちろん、氷をお持ちしましょうか?」
JANE: No thank you. I’m determined to  「結構です。飲み物は氷なしにすると
   learn to drink without it.        決めたんです」
FIORINI: You are very willing.           「意志がお強いのね」
JANE: Completely.                           「ええ、とても。
    Half Italian -- half American.           イタリアとアメリカ、半々で」
FIORINI: Salute!                       「サルーテ」
JANE:  Here’s looking at you.        「あなたに乾杯」
―「旅情」(Summertime 1955 監督:デヴィッド・リーン 脚本:デヴィッド・リーン、H. E. ベイツ)

 ところで、何世紀も前のことですが、乾杯は毒殺を避けるためグラスを合わせて液体のしぶきを飛ばし合ったことが儀式化された、といわれています。

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原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE

一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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