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COLUMN コラム

名作にみる美しい英語

2019.11.11

名作にみる美しい英語(159)

原島 一男

‘Thanks a lot,’ Mason told her. ‘I’m honoured.’
「どうもありがとう」とメイソンは彼女に言った。「光栄です」
‘I’m the one that’s honoured,’ she said. 「私こそ光栄です」と彼女。
  (アール・スタンレー・ガードナー作「カレンダーガール」)

 小説や映画などの名作から選んだ美しい英語を紹介する連載。
 そのフレーズが生まれた時代や背景を色濃く伝え、使った人の気持ちを具体的に表します。
 それをじっくり観察することで、あなたの今の英語を鍛えあげましょう。言うまでもなく、一つのフレーズだけでは、その作品の全貌をつかむことはできません。
 しかし、それが、あなたを刺激することもあるかもしれません。

‘I am a fan of yours.              「私はあなたのファンです。
 I have followed your legal adventures      いつもあなたの法律上の解決を
 with considerable interest and            かなりの興味を持ってフォローしていますし、                                          
and enjoy reading about your cases         新聞で報道されるあなたの事件を
in the newspapers.’               楽しみに読んでいます」
‘Thanks a lot,’ Mason told her.          「どうもありがとう」 とメイソンは彼女に言った。
‘I’m honoured.’                「光栄です」
‘I’m the one that’s honoured,’ she said.   「私こそ光栄です」と彼女。                           
‘You’ll probably hear from me later,’     「たぶん、私のほうから近くお電話をいたします」
Mason told her.                 とメイソン。
‘Goodnight.’                  「おやすみなさい」                                                              
                   

ーアール・スタンレー・ガードナー作「カレンダーガール」
  (The Case of the Calendar Girl(1958)by Erle Stanley Gardner)

・legal adventures = 法的冒険 → 色々な角度から観察して法律的な解決法の結論を導き出す

 これはペリー・メイスンが、この物語の主人公の一人、ミス・コーネルに最初の電話をしたときの会話。
 ペリー・メイスン(Perry Mason)とは、アメリカ西海岸のカリフォルニア州に事務所を持つ刑事事件を専門とする弁護士探偵。年齢不肖の中年で独身。
 このペリー・メイスン・シリーズは、自分自身が弁護士の資格を持つアメリカ人作家 アール・スタンレー・ガードナー (1889-1970) によるものです。
 1933年に初登場した  “The Case of the Velvet Claws” (ビロードの爪) から 1968年の “The Case of the Fabulous Fake” (すばらしいペテン) まで82の作品が発表され、そのほとんど全部が日本語版で出版されました。この ”The Case of the Calendar Girl” (カレンダーガール)は1958年の作品。

 では、honor の使い方を学びましょう。
 まず、スペルですが、米語は honor 、英語は honour です。この作品が描かれたのは1958年ですが、ガードナーはイギリス式の ‘I’m honoured.’ を使っています。
  語頭の h は読みませんから不定冠詞は a ではなく、an を用います。
 元の意味は「名誉」で「尊敬」「敬意」「光栄」「特権」「信義」「自尊心」「節操」など。

・This is a great honor.    「これは大変光栄に存じます」
・It’s an honor to meet you. 「お目にかかれて光栄です」

 それでは、ここで honor/honour の使い方をいくつかの映画からみることにします。

 That honor, courage, and virtue mean everything...   「名誉、勇気、美徳だけがすべてだ。
 That power and money mean nothing...           権力と金、金と権力は何の意味もない。
  That good always triumphs over evil.                         常に良いものは悪に勝つ。          
  And I want you to remember this,                               それから、これは覚えておけ。      
  that love... true love never dies.                                   愛、真実の愛は決して滅びない」 
ー「ウォルター少年と、夏の休日」 (Secondhand Lions 2003  監督・脚本:ティム・マッキャンリ−ズ

 これは、14歳のウォルター少年(ハーレイ・ジョエル・オスメント)がアメリカ・テキサス州の草原にある農場で夏休みを過ごしたとき、叔父にあたるハブ(ロバート・デュヴァル)から聞く言葉です。このほかにも、成長過程のウォルターは、ハブからさまざまな人生の教訓を受けました。

・名詞の前の that  は、話し手が言いたいことを強調したいという気持ちのあらわれを示す

 かわって、映画「旅情」からの一場面。

JANE:     Yes, I bought it for ten thousand lire.   「私は10,000 リラで買いますから」
DE ROSSI: Then I give it to you for eight-thousand   「それでは、あなたのイタリーの
      seven hundred lire in honor of       最初の買い物ということで
      your first buying in Italy.          8,700 リラにいたしましょう」
JANE:  Well, I give in... I mean I give up...          「そう,負けたわ。ええ、、、諦めたわ。
    um, um... Grazie.                ええと、、、グラチェ(ありがとう)」
ー「旅情」(Summertime 1955 監督:デヴィッド・リーン 脚本:デヴィッド・リーン、H. E. ベイツ)

・ in honor of your first buying in Italy = イタリアでのあなたの最初の買い物に敬意を評して

 アメリカの地方都市で秘書を務めているジェーン・ハドソン(キャサリン・ヘプバーン)。
 長年の夢がかなって憧れのヴェニスへ休暇旅行し、ゴブレットの買い物をするため、店主(ロッサノ・ブラッツィ)と話しています。
 最初に 10,000 リラと提示されたその値段で買うというジェーンに、イタリアでは「値切らなければ」と促す店主。
 母国語の米語を話すジェーンなのに、give in (降参する/屈服する/折れる)と give up (あきらめる/断念する/やめてしまう)を間違いたり、すっかり混乱しています。ここから映画は佳境に入っていくのですが…。

 次は、あの「ローマの休日」。映画の冒頭、某国のアン王女各国親善訪問の様子を伝える映画が挿入されます。
 コメンテーターは「王女はロンドン、アムステルダム、パリの後、永遠の都ローマへ到着し…」と説明します。

  COMMENTATOR:
 And at her country's embassy that evening,   「そしてその夜、彼女の大使館では、
 a formal reception and ball                            イタリー駐在大使による
 in her honor was given by                                王女を主賓とした公式のレセプションと舞踏会が
 her country's ambassador to Italy.         開催されました」
 

ー「ローマの休日」(Roman Holiday 1953 監督:ウィリアム・ワイラー 脚本:イアン・マクレラン・ハンター/ジョン・ダイトン 原作:ダルトン・トランボ)

・a formal reception and ball in her honor = 王女を主賓とした公式のレセプションと舞踏会

 そして、最後は「セックスと嘘と、、」という奇妙なタイトルの映画。当時26歳のスティーヴン・ソダーバーグ監督の第1作、カンヌ映画祭グランプリ受賞の作品から。

JOHN:  Well, your honor,          「裁判長、
    I’m just positive           わたしは確信しております
    the man is guilty.          その男が絶対に有罪であることを」
   

ー「セックスと嘘とビデオテープ」
  (sex, lies, and videotape 1989 監督・脚本:スティーヴン・ソダーバーグ)

・honor = 裁判長/裁判官への敬称 
・‘I’m just positive.’ = 「わたしは確信しています」(just は強調)
・positive  =   certain と同じ意味で、肯定する/確信している/本当である
・guilty = 有罪

―――

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ー以上ー

原島 一男

Kazuo Harashima

PROFILE

一般社団法人内外メディア研究会理事長、ノンフィクション作家。慶應義塾大学経済学部卒業。ボストン大学大学院コミュニケーション学科に留学後、1959年NHKに入局。国際局で英語ニュース記者・チーフプロデューサーを務める。定年退職後、山一電機株式会社に入社、取締役・経営企画部長などを務める。現在、英語・自動車・オーディオ関連の単行本や雑誌連載の執筆に専念。日本記者クラブ・日本ペンクラブ会員。『店員さんの英会話ハンドブック』(ベレ出版)、『オードリーのように英語を話したい!』(ジャパン・タイムズ)、『なんといってもメルセデス』(マネジメント社)など、著書多数。

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