グローバル HR ソリューションサイト
by Link and Motivation Group

グループサイト

文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大
  • お問い合わせ
  • TEL:03-6867-0071
  • JAPANESE
  • ENGLISH

COLUMN コラム

駐在員のための  中国ビジネス ー光と影ー

2018.03.26

駐在員のための「中国ビジネス―光と影―」(第57回)中国ビジネス余話

菅野 真一郎

中国の世界遺産・九寨溝(きゅうさいこう)

6.中国経済の概況と中国経済発展の要因(2)

(2)在外華僑・華人の存在

 前回は、中国経済発展の要因(1)として、1978年12月、中国共産党「11期3中全会」で、それまで中華人共和国建国以来30年に及ぶ毛沢東主導の政治・階級闘争、社会主義統制経済・計画経済(自力更生等の鎖国政策)の行き詰まりからの脱却を目指して、経済建設重視の近代化路線に大きく舵を切り「経済改革・対外開放政策」を採択したことをお話しました。
 繰り返しになりますが、この政策大転換によって、外資(進出)による技術移転→品質向上・国際競争力向上→輸出拡大→外貨獲得→輸入拡大→国内生産拡大・経済成長→輸出拡大と、外資(進出)による雇用機会創出→所得水準向上→消費購買力拡大が実現し、この結果人口大国中国が巨大マーケットに変身し、このことがさらに一層外資の中国進出を促しているという経済の好循環が出現して、今日に至っています。2001年12月の中国のWTO(世界貿易機構)加盟は、経済改革・対外開放政策の金字塔ということができると思います(この点は別途「中国経済の概要」でも触れたいと思います)。

 中国経済発展の第2の要因は在外華僑・華人の存在です。
 華僑は元来一時的に海外に住む中国人(いろいろな環境変化で定住化している)、華人は居住国の中国人(華僑の2世、3世が多く国籍は居住国国籍)と大雑把にとらえていいと思いますが、正確な統計は有りませんが華僑・華人合わせておおよそ4,000万人といわれており、その70~80%は東南アジアに集中しております。
 最多はインドネシア800万人、タイ740万人、マレーシア650万人、シンガポール280万人、フィリピン120万人、ミャンマー110万人、アメリカ400万人、カナダ150万人、オーストラリア75万人、日本には69万人(外務省H.P)が居住しております。
 華僑財閥は東南アジアで財をなし、夫々の国で相当の経済力を有し、政治、経済、社会の各方面で影響力をもっています。これらの力をもった華僑が中国投資や中国との貿易でも中核プレーヤーであることは間違いなく、これが中国の経済発展に大きく貢献していることは皆さんご承知の通りです。

 私は華僑の「血は水よりも濃い」結束力がここぞという時に、祖国中国に経済力以上の貢献をしていることに注目したいと思います。
 1991年秋、中国全土は40数年振りの大洪水に見舞われ、江沢民総書記を先頭に洪水対策に奮闘している時、先ず最初に「祖国救援」の街頭募金が報じられたのが香港、次いでシンガポールやタイ、マレーシアなど東南アジアの国々に伝幡しました。1991年秋といえば、まだ1989年6月4日の天安門事件の余韻もさめやらない時期であり、特に香港では今でも毎年6月4日に大規模な人権擁護の抗議デモが繰り広げられていますが、いざという時に救援募金活動が沸き起こったのをみて、在外華僑の「血は水より濃い」結束力を実感した次第です。
 2008年5月12日の四川大地震に際しても、義援金はアメリカ政府が50万ドル(5000万円相当)、日本政府が「アメリカ政府の10倍」と言って5億円提供したのに対し、台湾政府は27億円、台湾企業の募金は60数億円の規模に達しました。やはり「血は水より濃い」結束力の証とみることができると思います。
中国政府が対外開放政策を掲げ外資誘致活動を始めたとき、1980年代初頭からいち早く中国進出した外国企業の多くは、人件費が高騰し始めていた香港の大型華僑財閥(その代表格はホンコンフラワーで財を成した広東省潮州出身の李嘉誠―リカシン)であり、タイのアグリビジネスのCP(チャラン・ポカパン)グループなど、故郷に錦を飾りたい世界の華僑たちでした。
 当時、私が営業活動の一環として日本の繊維関係企業に、人件費が安い中国への進出を慫慂しましたが、「中国はどうなるか分かりません、我々は先ず東南アジアに行きます」と言って中国には見向きもせず、タイ、マレーシア、インドネシアなどに進出して行ったのを記憶しています。それらの企業の中国進出が本格化したのは1980年代後半から1990年代にかけてのことです。

 2017年10月の第19期中国共産党大会での習近平総書記の政治報告の中でも、「一国二制度」「祖国の平和統一」の項で、「両岸(中国本土と台湾)同胞は運命を共にする骨肉の兄弟で、血は水よりも濃いという家族である」というくだりがあります。

(この項続く)
 

菅野 真一郎

Shinichiro Kanno

PROFILE

1966年日本興業銀行入行、1984年同行上海駐在員事務所首席駐在員、日中投資促進機構設立に携わり同機構初代事務局次長、日本興業銀行初代上海支店長、同行取締役中国委員会委員長、日中投資促進機構理事事務局長を経て、2002年―2012年みずほコーポレート銀行顧問(中国担当)、2012年4月より東京国際大学客員教授(「現代中国ビジネス事情」)。現在まで30年間、主として日本企業の中国進出サポート、中国ビジネスに係るトラブル処理サポートの仕事に携わってきた。

このコラムニストの記事一覧に戻る

コラムトップに戻る