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COLUMN コラム

ベトナムビジネスで見た景色

2018.02.13

【ベトナムビジネスで見た景色(38)】駐在期間が問題

小川 達大

 やはり、駐在期間が3年というのは、短い。ますます、そういう時代になってきているように感じます。

 極端に言えば、最初の1年はなれない環境に戸惑っているうちに過ぎてしまい、次の1年でようやく海外での働き方が自然とできるようになってきますが、3年目に入り自分らしさを活かして何かを仕掛けようと思う頃には後任者への引き継ぎが始まってしまいます。組織的に定義された役割を粛々と務め、駐在者としても海外経験を積める、ということだけであれば、3年程度でも十分でしょう。しかし、新しい取り組みに挑戦してみるだとか、これまでのやり方を抜本的に改革していこうとするのであれば、3年は短すぎるでしょう。

 アジア新興国市場は、変化の激しい市場です。これまでの戦い方が通用しなくなるような環境変化が頻繁に起こっています。

 アジア新興国市場は、独自の進化を進めている市場です。日本市場での戦い方を、そのまま持ち込んでも、うまくいかないことが多いものです。

 それゆえ、現地で、事業環境の変化を把握し、思い切った意思決定をしていくことが必要になる場面が、ますます増えているに違いありません。リスクのある決断をし、成果が出るまで強いコミットを持って改革を牽引するには、3年は短すぎるでしょう。

 その背景にあるのは、昇進ルートに対する認識があるのかもしれません。日本本社で昇進していくことが本流であり、海外駐在は謂わば「いっときの修行や経験の場」と(無意識に)考えられている会社も意外に多いように感じます。そういう会社では、「海外で長く働きすぎると日本に戻れない働き方や能力の人材になってしまう」というような発言がされていることもあります。駐在期間の問題を解消するためには、昇進ルートの複線化が必要だと考えます。


 駐在期間の短さは、現地で採用する社員との関係にも、影響を与えます。現地社員の立場に立ってみれば、3年ごとに上司が変わり、しかも新しくやってくる上司は市場のリアリティを知らないということになってしまいます。自らオーナーシップを持って事業を牽引しようとする社員は会社を離れていくかもしれませんし、残った社員は自分の意見を主張する意欲を失い「去勢」されてしまうかもしれません。

 こういうふうに考えると、そもそも、駐在員という制度自体を吟味しなければならいように思います。本社からの「指導役」や「お目付け役」を派遣する、ということでしかないのあれば、駐在員の意義はないでしょう。現地の事業を牽引する経営者やリーダーが必要です。その要件を満たしているのであれば、日本本社から派遣した人材か、現地で採用した人材か、は問わないはずです。

 実態にそぐわない駐在員制度が、事業を停滞させているという事例は多い、というのが私の実感です。貴社の駐在員制度は、現地の事業の競争力強化に貢献していますか?

小川 達大

Tatsuhiro Ogawa

PROFILE

経営戦略コンサルティング会社Corporate Directions, Inc. (CDI) Asia Business Unit Director。同ベトナム法人General Director、同シンガポール法人Vice Presidentを兼任。 日本国内での日本企業に対する経営コンサルタント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、消費財メーカー、産業材メーカー、サービス事業など様々な業種の東南アジア展開の支援を手掛けている。ASEAN域内戦略立案・実行支援、現地企業とのパートナリング(M&A、JVづくり、PMI等)支援、グローバルマネジメント構築支援など。日本企業のアジア展開支援だけでなく、アジア企業の発展支援にも取り組んでおり、アジアビジネス圏発展への貢献に尽力している。
CDI Asia Business Unit

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