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COLUMN コラム

ベトナムビジネスで見た景色

2018.05.21

【ベトナムビジネスで見た景色(41)】ベトナムも、ガラパゴス?

小川 達大

 WeAreSocial(https://wearesocial.com/)という会社が、世界のインターネット利用状況に関するレポートを定期的に出しています。変化の早い業界について短い間隔でレポートが出てくるので、定点観測するのに役立ちます。

 東南アジアに関する部分を一部引用します。

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 大きな傾向としては、経済水準に応じて、インターネットの浸透が進んでいることが分かります。ただし、たとえば、日本ではSNSを利用していないインターネットユーザーも多いようですが、東南アジアにおいてはインターネットユーザーのほとんどがSNSを利用しています。あるいは、EC(Eコマース)の利用経験の割合は、経済水準ほどには、日本と東南アジア各国の差は大きくありません(もっとも、支払いや物流の利便性や、商品の充実は、まだまだ大きな差がありますが…)。このあたりは、「ベトナムは、日本の●●年前」というような固定的な観方に惑わされることなく、実態を正しく理解する必要があります。


 メッセージアプリは、利用者が多ければ多いほど利用の価値は高まりますので、大手プレイヤーがシェアを獲得するのが一般的です。世界中でシェアを獲得しているWhatsappや、資本力や他のサービスとの連結に優れるFacebookのFB Messangerが各国で優位に立っています。日本では生活インフラとも言えるLINEは、タイやインドネシアでは浸透しているものの、東南アジア市場を支配している、という状況ではありません。

 ベトナムのメッセージングアプリ市場では、ベトナム国外の人には馴染みの薄いアプリが主要プレイヤーになっています。ZALO(ザロ)です。世界的に強いプレイヤーが、ベトナム市場への現地化と浸透を進める前に、ベトナム人に使いやすい機能・インターフェースを追求してユーザー基盤を築きました。もともと、Zingというゲームや音楽再生のサービスでユーザーを抱えていたことに加えて、近く(同じカフェの中など)にいるユーザーの検索機能などの国外のアプリにはない機能が充実していることも要因の1つでしょう(※WeChat微信には、同様のユーザー検索機能があります)。また、近年は、世界中のメッセージングアプリの動向と同じく、ゲームや動画コンテンツの充実や、ペイメントサービスの導入など、ユーザーの囲い込みと付加価値の拡大を進めています。

 ZALOを展開するVNGコーポレーションは、アメリカのナスダック上場を目指しています。昨年2017年の5月に、ベトナムのフック首相が訪米するのに合わせて、ナスダックとVNGの間で、ナスダック上場に向けた覚書を締結しています。現時点では、IPOに関する具体的なリリースなどは出ていませんが、ベトナムを代表するITベンチャーとしてVNGの成長に期待が集まります。
 
 個人的な感覚ですが、ベトナムには「チャンスがありそう!」と思うと素早く行動に移して挑戦してみる人や会社が多いような気がします。一方で、グローバル展開している企業からすると、ベトナムという市場は、1億人市場であるとはいえ、必ずしも最優先の市場というわけではないケースが多いです。そのため、世界的なブランドが浸透する前に、現地の企業やブランドが高いシェアを持つというようなことが起こるのかもしれません。もちろん、そういったことが起こりやすい業界とそうでない業界があるでしょうし、世界的なブランドの攻勢に対抗しながら高いシェアを維持し続けるというのは大変なことであるわけですが。

 日本企業もまた、こういったベトナム企業の動きから学ぶことで、ユニークな市場機会を見出すことができるかもしれません。

それでは、ヘンガップライ!

小川 達大

Tatsuhiro Ogawa

PROFILE

経営戦略コンサルティング会社Corporate Directions, Inc. (CDI) Asia Business Unit Director。同ベトナム法人General Director、同シンガポール法人Vice Presidentを兼任。 日本国内での日本企業に対する経営コンサルタント経験を経て、東南アジアへ活動の拠点を移す。以降、消費財メーカー、産業材メーカー、サービス事業など様々な業種の東南アジア展開の支援を手掛けている。ASEAN域内戦略立案・実行支援、現地企業とのパートナリング(M&A、JVづくり、PMI等)支援、グローバルマネジメント構築支援など。日本企業のアジア展開支援だけでなく、アジア企業の発展支援にも取り組んでおり、アジアビジネス圏発展への貢献に尽力している。
CDI Asia Business Unit

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