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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.02.16

「悠久の国インドへの挑戦」16 日本人と現地人との役割

藤崎 照夫

インドの超絶満員電車

今月は現地法人に於ける日本人駐在員とパートナーを含めた現地人との役割分担について触れたいと思います。

私はインドで二つの会社で仕事を経験しました。最初は対等合弁の2輪車の製造販売会社で、2回目はホンダがマジョリティーを持つ4輪車の製造販売会社です。

最初の会社ではパートナー会社の会長が新会社の会長となり、社長は会長の長男、私が共同社長という構成で、私の他に5名の日本人駐在員が派遣されており、その内の1名が生産担当役員で、その他の4名の内3名が生産部門のアドバイザー、残りの1名が購買部門のアドバイザーという職務分担でした。

私以外の5名の日本人駐在員はデリーの本社から1時間半ほど離れた工場に毎日出かけていましたので、私は本社で日本の本社の各部門、製作所、研究所等と毎日電話やテレックスのやり取りを行うと同時に会議に出席したり、決裁書類にサインをするのが基本的な日常業務でした。仕事の役割分担を大別すると対日本との窓口業務、営業、生産が日本側駐在員の役割で、購買、財務/経理、法務、対外業務がパートナー及び現地スタッフの仕事となっていました。

2回目の合弁会社では、パートナーが会長を務め私が社長、人事労務担当がパートナーから派遣された副社長、生産全般を統括するのが日本人副社長というトップ構成になっていました。日本人駐在員は私を含めて総勢16名でしたがホンダがマジョリティーを持つ新会社ということで、ホンダの経営思想がより徹底出来るように、営業、購買、財務/経理部門も日本人駐在員が取締役部長として実務を直接統括する形を取りました。

駐在の中でも一番人数が多かったのが工場関係の技術者でしたが、塗装、溶接、組み立て、品質管理等夫々の部門でインド人がマネージャーとなり日常業務の責任者であり、労務管理を受け持ちました。日本人は生産技術や管理技術の指導をするように役割分担を決めました。これは工場の現場ではラインで仕事をする現地人は英語が出来る人は極めて少ないため日本人ではコミュニケーションが取れないこともその大きな理由でした。

上述したように合弁会社であれば出資比率、事業規模などによって駐在員の派遣数も変わり、役割も変わるということがご理解頂けるのではないかと思います。また「時代と共に変化する日本人の役割」という事実もあります。何故ならスタートしたばかりの会社と20年、30年の歴史を持つ会社では現地スタッフの役割責任が大きく変化するためです。

会社が操業を開始して20年も30年も経過すると殆どの日常業務は経験を積み重ねてきた現地人の工場長、部長、課長などを中心として遂行が可能となり、日本人駐在員に求められる役割は新製品や新技術の投入、新しいシステムの導入などに絞られてくるのではないかと思います。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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