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COLUMN コラム

悠久の国インドへの挑戦

2015.06.29

「悠久の国インドへの挑戦」21 経営の透明化

藤崎 照夫

ムンバイ(インド)の記念碑のゲートウェイ

インドでは勿論株式市場もあり上場している企業も沢山ありますが、それらの上場企業でも所謂オーナー企業が数多く先進国と比較すると経営の近代化は概して遅れているのではないかと思います。

ホンダがインドで四輪市場に参入するに当たって既存の合弁会社のパートナ―と提携することになりましたが、このパトナーは基本的に経営はホンダ側に任せると言ってくれましたので、日本的経営、ホンダの経営思想を基本として新規にスタートすることにしました。その中でも私が考えたのは“経営の透明化”ということで換言すれば全ての従業員に対して開かれた経営を行うということです。今月号ではそのためにどのように具体的な活動を行ったかを述べたいと思います。

Ⅰ.経営方針は具体的に

先ず第一にどのような考え、理念に基ずいて経営を行い将来的にどのような会社にしたいのかを従業員に示す事が大事だと考えました。

それでこのシリーズでも既に触れた部分はありますがホンダの経営の基本である「ホンダフィロソフィー」や社是、経営の具体的方針などを1冊にまとめた「ASSOCIATE HANDBOOK」というものを作成しました。

少し長くなりますがよりご理解を頂きたいのでその内容を下記しますと;

1. Message from the President
2. Engine Story
3. Honda Philosophy
4. The exciting future
5. Honda Motor Co.,Ltd.:Corporate Profile
6. History of Siel Ltd
7. HSCI company profile
8. Layout of HSCI
9. Brief outline of HSCI Division
-Works Division
-Marketing Division
-Material Division
-Finance and Accounting Division
-Administration Division
10.Work Efficiency Tools
11.Management Policies
12.Office and Shopfloor Etiquettes
13.More Honda way
14.HSCI Safety Policy
15.Our Achievements and future Endeavour
16.Environment Policy

この小冊子は40ページからなり英語とヒンディー語の二種類あり、文章だけでなくイラストも交えて誰でも理解出来るようにしました。このHAND BOOKは会社で使用するユニフォームの胸のポケットに収まるサイズにしていつでも取り出して見れるような工夫がされました。そして会社の役員、部長等が中心となって全従業員を対象とした勉強会を開催し内容についての理解を深めてもらうように努めました。

Ⅱ.また、出来るだけ「情報の共有化」を行うようにしました。

これについては既にお話ししていますが生産や販売などの情報を壁に張ったボードに記載して誰でも必要な時に見れるようにしました。その他には「2 way communication」という仕組みを考えました。これはマネージメントから従業員への一方的な情報の伝達だけでなく彼らからの質問や提案にも応えるという場の設定です。

具体的な方法としては;

①参加者: 事務部門の社員20~25名(工場関係は人数が多いので別途実施)
 ②開催頻度:基本2ヶ月に1回
 ③会社側 :社長、副社長、役員など数名
 ④討議内容:会社から事業計画やコストダウン計画の進度説明や将来のモデル計画の説明を行いそれに対する質疑応答等

というやり方でしたが、このやり方は一般的なインド企業とは違ったユニークな方法ではなかったかと思料しています。

藤崎 照夫

Teruo Fujisaki

PROFILE
早稲田大学商学部卒。1972年、本田技研工業(株)入社後、海外新興国事業に長年従事。インドでは、二輪最大手「Hero Honda」社長、四輪車製造販売合弁会社「Honda Siel Cars India」初代社長として現地法人トップを通算10年務める。その後、台湾の四輪製造販売会社「Honda Taiwan」の初代社長、会長を務めた後2006年同社退職。現在はサンアンドサンズ社、ネクスト・マーケット・リサーチ社等の顧問として活躍インド、アジア事情に幅広く精通している。

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