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COLUMN コラム

駐在員のための中国ビジネス ー光と影ー

2016.07.11

駐在員のための「中国ビジネス―光と影―」(第36回)役員訪中成功のために―現地駐在員の対応の心得(その4)

菅野 真一郎

これまで3回にわたり建築設計関係の某社の社長が将来の連携を視野に、先ず研修生の相互派遣を行っている上海市の同業会社を訪問する実際のケースを念頭に説明してきました。社長にとって初めての中国訪問です。訪中の意義、トップ交流(企業、行政府)、上海市人民政府表敬訪問について述べてきました。今回もその続きです。

中国の黄山:安徽省にある景勝地

(3)例えば合弁パートナー(またはその候補)トップとの面談

訪中すれば、先ずパートナートップとの面談があり、その日の夜は歓迎宴が催されるのが通常の中国流もてなしです。

パートナートップとの面談は前回の上海市長との面談の要領で行えばよい訳です。
今次訪中並びに面談実現に対する謝意表明を行います。中国での面談の冒頭での謝辞は食事のオードブルのようなもので、必要な儀礼です。
先方が既に来日して当方と面談・会食しているのであれば、その想い出や感想を述べます。ただし中国側は以前の出来事はあまり口にしません。ましてやそのお礼などは言いません。周りの中国側関係者に詮索されたくない用心のためだと思います。
既に研修生の交換をしているので、研修生受入れに対する謝意表明、研修正受入れに携わっている人々に対する謝意表明、「研修生〇〇君をよろしく」と社長自らが研修生の名前を上げて、研修生が大事な人材であることを印象付ける配慮も必要です。
一方、当方が受入れている中国側研修生の名前を挙げて、その勉強振りや日本語習得状況を紹介し、当方も真剣に対応していることを強く印象付けることが大事です。
今次訪中で、例えば「業務協力協定書」とか「合弁協議意向書」のような何らかの文書調印が準備されているのであれば、文書調印の意義付けを行い、パートナートップの指導力と携わった関係者の努力や労苦に対して謝意表明を行う気配りが大事です。

(4)宴会のポイント

日本から訪中すれば、必ず中国側から歓迎宴が催されます。訪中メンバー全員と現地駐在の主なメンバーが招待されます。
最初にビールで乾杯し、中国側主人が「さぁ、どうぞお召し上がりください」と言ってオードブルを小分けしてくれたら宴会がスタートです。(主人が料理を小分けするのは乾杯と同じ儀式の様なものです。)
紹興酒や白酒(透明な強いお酒)は自分で勝手に飲まず、主人と杯を合わせ乾杯の仕草で飲むのが一般的といわれています。お礼も乾杯して飲みます。主人以外からも杯を掲げられたら、喜んで杯を空けるのが中国流礼儀といわれています。
逆に当方が主人(答礼宴)の場合には、歓迎宴の主人のやり方を真似すれば無難です。主人が積極的に料理を勧めたり、杯を挙げて場を盛り上げる気配りが必要です。

話題は楽しい話、大型プロジェクトや工場建設の経験談―特にとっておきの苦労話や失敗談(失敗しても社長になれてる訳ですから、中国側も安心して聞いてくれますし、内容によっては中国側はとても興味を持ちます)、教訓、嬉しい誤算などが喜ばれます。楽しい趣味の話もおすすめです。相手が年齢の割には若く見え健康そうであれば、それを称え秘訣を聞き出します。中国の要人は髪の毛を黒く染めている人が多いという話ですので、当方からは髪の毛の話題は触れない方が安全です。

相手の趣味や自慢の特技には出来るだけ話を合わせ場を盛り上げる気働きも必要です。中国側の主人だけでなく、No.2やそれ以外の出席者、特に若い人や女性にも話題を振れば一層楽しい雰囲気になります。酒の強そうな女性を見つけて杯を空けるのは、当方の若手の出席者の務めです。この様な気働きの出来ない若手は中国駐在は無理かもしれません。中国側主人と意気投合して次回の約束(何でも良い)が成立すれば宴会はひとまず成功といっても良いでしょう。
通訳は男性でも女性でも機転が利くことが大事です。達者な女性通訳は、和やかな雰囲気を醸し出してくれます。

最後のデザートを食べ終えたら、呼ばれた方から、「今日は大変美味しいお料理をご馳走になり、とても楽しい宴会でした」と言って立ち上がり、おみやげがあればそれを手渡して、宴会場の出口で見送られて帰路につきます。主人は、宴会場の出口で見送りをし、宴会場の外には出ないのが一般的です。中国人は外部の人に誰と宴会をしたか知られたくないようです。

(5)答礼宴

歓迎宴があれば、中国滞在中に答礼宴を催すのが礼儀です。時間が取れない場合は次回当方から、または日本で招宴することです。
場所は宿泊ホテルの中華料理レストラン、宿泊ホテル以外であれば市内の有名ホテルのレストラン―“錦江飯店”(北楼)、“静安賓館”(901号室)――あるいは豫園商場の老舗の中華料理店“老飯店”、上海ガニの季節(10月、11月)ならば100年以上の歴史を有する上海ガニの有名な料理店“王宝和”等々があります。

中国側の招待客の上層部が嫌いな食べ物、持病や宗教上の関係で食べられない物がないかどうか事前の情報収集が必要です。好きな食べ物や飲み物を用意することも相手に喜ばれる気配りです。
1972年9月、日中国交回復交渉で訪中した田中角栄総理大臣一行が北京飯店に宿泊して朝食の味噌汁を口にした田中総理は、ぎょろ目を見開いて『うっ』と唸ったそうです。周恩来総理の手配で、田中総理の自宅で使っている新潟県の越後味噌を取り寄せ味噌汁を提供したからです。

宴会の時間は夕方6時から8時の2時間位が標準です。早目に始め、早目に切り上げるほうが喜ばれます。一般には2次会はやりません。
招待メンバーは、歓迎宴のメンバーに、研修担当者、調印文書作成担当者等特別に招待したい関係者を幅広に呼ぶことをお勧めします。中国側運転手の夕食代はレストランから一人50~100元の現金を手渡してもらい、宴会の請求書に“運転手食事代”と明記してもらいます。

おみやげは、相当親しくなるまでは用意したほうが無難です。歓迎宴で手渡してあれば答礼宴では不要です。自社の商品やノベルティがあれば、それで十分だと思います。

(参考)訪中の際のおみやげ

前回も書きましたが、訪中の際のおみやげは悩みのタネです。中国側特に国有企業や行政府の個人はあまり高価なおみやげは受け取りにくい内規があります。
中国内価格200元相当を超える物は申告の必要があり、自分の物にするには相当の税金を納める必要があります。時代によりこの規定が厳格になったり、ルーズになったりしているようです。現在もこの規定が存在するか不明ですが、習近平総書記の贅沢を戒めている姿勢からすると、もっと厳しいかもしれません。
関係する図書、技術書、写真集などがスマートなような気がします。自社製品は誰からも納得されやすく、相手も受け取りやすいようです。

(つづく)

菅野 真一郎

Shinichiro Kanno

PROFILE
1966年日本興業銀行入行、1984年同行上海駐在員事務所首席駐在員、日中投資促進機構設立に携わり同機構初代事務局次長、日本興業銀行初代上海支店長、同行取締役中国委員会委員長、日中投資促進機構理事事務局長を経て、2002年―2012年みずほコーポレート銀行顧問(中国担当)、2012年4月より東京国際大学客員教授(「現代中国ビジネス事情」)。現在まで30年間、主として日本企業の中国進出サポート、中国ビジネスに係るトラブル処理サポートの仕事に携わってきた。

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