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COLUMN コラム

激動するミャンマー

2018.01.29

アジア最後のフロンティア「激動するミャンマー」(47) 『およそ1世紀ぶりの会社法改正が実現 新会社法解説(1)』

宍戸 徳雄

ヤンゴンの書店で売られている旧会社法法文

 1914年のMyanmar Company Act(旧会社法)よりおよそ1世紀以上の時を経て、2017年12月に、ミャンマーにおいて改正新会社法が成立しました。

 今回のコラムより数回に亘り、この改正新会社法の内容について、旧法との比較において変更があった部分について、いくつかピックアップして簡単に解説をしていきたいと思います。

 旧会社法では、法律自体がかなり古く、明文と運用ベースとの間で実質的に機能していない法文なども多々あり、特に外国企業にとっては使い勝手の良いものではありませんでした。ミャンマーが、軍事政権から民政移管を果たし、経済面においても改革開放政策を進めてくる中で、会社法の改正の必要性は、国内外からずっと主張され続けてきました。
 会社法の改正に先行して、先般、新投資法も成立しており、新会社法と併せた施行、運用が開始されることにより、ミャンマーにおけるビジネスロー・インフラの基盤が固まることは、外国企業にとっては歓迎すべきことでしょう。これにより、ミャンマーあての投資環境が改善することは、大きな前進と言えます。

 今回は、改正の大きなポイントの一つである、外国企業の定義規定の変更の内容について解説したいと思います。

 旧会社法では、外国人又は外国法人が1株以上の株式を保有する会社は、「外国企業」と規定されていました。それ以外の会社は「ミャンマー内国企業」となるという分類です。

 ここで、旧会社法では(正確には、旧会社法をベースにした「外国企業」の定義を前提として運用されている様々な個別法では)、「外国企業」と「ミャンマー内国企業」との間に、様々な規制態様において区別をしていて、たとえば、「外国企業」の土地の使用権や所有権などにおいて、企業活動を阻害しかねないような規制が負荷されていることなどが問題視されていました(不動産譲渡規制法など)。旧会社法では、外国企業は、1年以上の期間における不動産の賃借権の取得などが認められていませんでした。

 新会社法では、「外国企業」の定義規定が変更され、外国人又は外国法人が35%を超える株式を保有する会社は、「外国企業」という内容に変更になりました。
 つまり、外国企業が、ミャンマー内国企業の株式を35%まで保有した場合も、あくまで「ミャンマー内国企業」として分類され、会社法が外国企業あてに規制する様々な規制態様は適用を免れるわけです。これによって、ミャンマー内国企業としての規制に服する法的な根拠が出来たことになり、上述のような旧会社法において、外国企業が不動産の賃借権の取得などの面で不都合性を回避するスキームの検討が可能となります。

 次回以降のコラムでは、新会社法の改正ポイントでも実務上重要な変更内容である取締役の要件の変更や、ミャンマーにおける営業許可制度であるPTT(PERMIT TO TRADE)が廃止されたことなどを解説していこうと思います。

宍戸 徳雄

Norio Shishido

PROFILE

株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役。1997年株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)に入行。法人営業部等歴任し主としてコーポレートファイナンス、外国業務に従事。2012年独立、アジア総合法律事務所のシンクタンク(調査研究機関)である株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンスを設立、代表に就任。アジア地域の法制度・判例、行政運用などの調査、ビジネス環境・マーケット調査などをメイン業務としながら、数多くの日本企業のアジア進出の実務サポートも行う。民主化直後のミャンマーにも拠点を設置(ヤンゴン)、ミャンマー政府関係者、ローカル企業にも幅広い人脈を有する。2014年にはシンガポールに法人を設立、代表に就任、アジアの起業家を結びつけるネットワークNew Asia Entrepreneur Business Network代表(シンガポール)。著書に「ミャンマー進出ガイドブック」(プレジデント社)、連載記事「沸騰ミャンマー投資1~3」(プレジデント社)などがある。その他金融機関や商工会議所等にて、アジア進出に関わる多数の実務セミナー・講演活動を行っている。一般社団法人日本ミャンマー協会所属。

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