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COLUMN コラム

激動するミャンマー

2018.10.15

アジア最後のフロンティア「激動するミャンマー」(56) 『2018年10月、スーチー国家顧問の来日』

宍戸 徳雄

政権交代後2度目の来日を果たしたスーチー国家顧問

 2018年10月5日、ミャンマーのアウンサンスー・チー国家顧問は、日メコン首脳会議に出席するため、政権移行後2度目となる来日を果たした。
 西ラカイン州の民族問題へのミャンマー政府の対応をめぐり、国連を含めた国際社会から非難が高まる中、彼女の発言と日本政府のスタンスが注目を集めていた。

 来日後、安倍首相と首脳会談を行ったスーチー国家顧問は「ミャンマー政府は、経済開発、国内和平、ラカイン州問題に重点的に取り組んでいる。問題の持続的な解決のために、日本がミャンマーの状況を理解し、支えてくれていることを評価している」旨述べた。
 対する安倍総理は「政権発足後の2年半の間、スーチー国家顧問が、国内和平、ラカイン州情勢、経済開発のために尽力されていることを評価する。日本は今後もミャンマーの民主的な国造りの努力を官民挙げて最大限支援していく」旨述べた。

 西ラカイン州の民族問題へのミャンマー政府の対応につき、国際社会からの非難が日に日に高まる中で、これまで日本政府は、独自の立場でスーチー政権への支援する姿勢を崩していない。
 日本政府のスタンスについては、過去の国連決議において、欧米諸国を中心にその大勢が、ミャンマー政府あての非難決議を上程する中、その決議を棄権するという形で、ミャンマー政府への配慮の姿勢を見せてきた。

 日本政府としては、スーチー政権が西ラカイン州の民族問題でかじ取りを誤り、国民の信頼を棄損し、国内の支持基盤を失うことは、軍部の台頭や、それを後方で支援する中国の影響力が強まるなど、かつての軍事政権時代への揺り戻しやそれに付随する副作用がまた発生することへの警戒感を持っているからと思料される。

 従って日本政府は、国際社会の中でも、西ラカイン州問題の複雑性へ理解を示す立場を取りながら、同問題のかじ取りの失敗を理由にスーチー政権が崩壊しミャンマーの民主化が後退することを防ぐためにも、辛抱強くスーチー政権を支えていくというのが基本的なスタンスであると思料される。

 スーチー国家顧問は、来日時の経済会議の場における発言として、西ラカイン州の問題について、「独立調査団に非常に広範かつ大きな権限を与えており、効果的な調査活動がなされると確信している。国軍も警察もこれに協力しなければならない」と述べ、同問題への解決姿勢を示した。

宍戸 徳雄

Norio Shishido

PROFILE

株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役。1997年株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)に入行。法人営業部等歴任し主としてコーポレートファイナンス、外国業務に従事。2012年独立、アジア総合法律事務所のシンクタンク(調査研究機関)である株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンスを設立、代表に就任。アジア地域の法制度・判例、行政運用などの調査、ビジネス環境・マーケット調査などをメイン業務としながら、数多くの日本企業のアジア進出の実務サポートも行う。民主化直後のミャンマーにも拠点を設置(ヤンゴン)、ミャンマー政府関係者、ローカル企業にも幅広い人脈を有する。2014年にはシンガポールに法人を設立、代表に就任、アジアの起業家を結びつけるネットワークNew Asia Entrepreneur Business Network代表(シンガポール)。著書に「ミャンマー進出ガイドブック」(プレジデント社)、連載記事「沸騰ミャンマー投資1~3」(プレジデント社)などがある。その他金融機関や商工会議所等にて、アジア進出に関わる多数の実務セミナー・講演活動を行っている。一般社団法人日本ミャンマー協会所属。

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