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COLUMN コラム

激動するミャンマー

2019.07.16

アジア最後のフロンティア「激動するミャンマー」(65) 『バガン遺跡、ついに世界遺産登録決定!』

宍戸 徳雄

広大な大地に3千もの仏塔が立ち並ぶバガン遺跡

 第43回世界遺産委員会がアゼルバイジャンの首都バグーで開催され、ミャンマー中部のバガン遺跡の登録が決定した。決定の速報を現地で聞いた関係者、およびニュースでそれを知ったミャンマー国民は歓喜に沸いた。このニュースは、SNS等を通じてミャンマーの国民にも瞬く間に広がった。

 今回、世界遺産登録となったバガン遺跡は、ミャンマーでは、ピュー遺跡に次ぐ2番目の登録となる。11世紀頃栄えたバガン王朝の遺跡で、世界三大仏教遺跡の一つと評されている。広大なバガン平野には、およそ3000もの大中小の仏塔が立ち並び、その遺跡群を背景に、朝日が登る早朝や夕日が沈む夕刻の光景は、息を飲むほどに美しい。年間50万人以上の観光客が訪れる場所だ。

 かつての軍事政権時代の1995年に、世界遺産候補としてエントリーしたものの、修復方法の問題などから登録が実現していなかった。その後、日本の専門家チームの支援なども受けながら、世界遺産登録の実現に一歩でも近くように遺跡の修復方法などにも留意しながら、努力を積み上げてきた。その間の2016年8月のバガンを襲った地震の被害も乗り越えての登録だけに、関係者の喜びも大きい。

 2015年の総選挙後の政権交代を経て、ミャンマーは、財政再建の目標の中で、観光収入の増加は重要な位置付けにある。日本を含む一部の友好国の旅行者に対するビザ取得の免除など、様々な施策は実行中であるものの、西ラカイン州の民族問題への対応などで欧米諸国からの非難も高まり、一時バガンへの観光客も減少に転じた。

 今回のユネスコ世界遺産登録によって、ミャンマーにおける最大の観光資源として、世界中からの観光客を、改めて引き寄せるきっかけとなることは間違いないだろう。しかし、バガンは依然として、ホテルや交通インフラの面は脆弱である。今回の世界遺産登録によって押し寄せる観光客を受け入れる受け皿を、ハード面、ソフト面共に、より整備を重ね、充実させていかなればならない。

 現地では、世界遺産登録に湧いているが、他方で、外国からの大勢の観光客訪問による遺跡や環境への影響被害などを心配する声も上がっている。宗教的・文化的価値の高いバガン遺跡であるが故に、その維持と保護への理解を、旅行者に喧伝していかなければならない。
 また、バガンが更に一大観光エリアとなることで、すでに始まっている地価の高騰や投機マネーの流入、建物の建設ラッシュなど、地元住民の生活環境へも影響を与えるだろう。

 上記のような様々な懸念事項はあるものの、ミャンマーとしては、約四半世紀に亘る登録までの努力によって、登録が実現したことは、今年最大のニュースでもあり、新政権としては、来たる2020年の総選挙に向けての好材料となることは間違いない。

宍戸 徳雄

Norio Shishido

PROFILE

株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンス 代表取締役。1997年株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)に入行。法人営業部等歴任し主としてコーポレートファイナンス、外国業務に従事。2012年独立、アジア総合法律事務所のシンクタンク(調査研究機関)である株式会社アジアリーガルリサーチアンドファイナンスを設立、代表に就任。アジア地域の法制度・判例、行政運用などの調査、ビジネス環境・マーケット調査などをメイン業務としながら、数多くの日本企業のアジア進出の実務サポートも行う。民主化直後のミャンマーにも拠点を設置(ヤンゴン)、ミャンマー政府関係者、ローカル企業にも幅広い人脈を有する。2014年にはシンガポールに法人を設立、代表に就任、アジアの起業家を結びつけるネットワークNew Asia Entrepreneur Business Network代表(シンガポール)。著書に「ミャンマー進出ガイドブック」(プレジデント社)、連載記事「沸騰ミャンマー投資1~3」(プレジデント社)などがある。その他金融機関や商工会議所等にて、アジア進出に関わる多数の実務セミナー・講演活動を行っている。一般社団法人日本ミャンマー協会所属。

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